Luck & Pal

これまでの記事

Saturday, August 20, 2005

 

2.アップルとビデオキャストの可能性

前回では、映像を見る機会を現在より大きく増やし(時間的自由度の拡大)、見ることのできる映像のバラエティーを現在より大きく増やし(内容的自由度の拡大)、所有する映像を簡単にブラウズでき(操作的自由度の拡大)、所有する映像を発進することができる(発進的自由度の拡大)ようになるソリューション群が、アップルによって構築されるのではないかと考えました。今回は、それについてさらに考えてみようと思います。


まず、アップルは現在、こうした4つの自由度の拡大を、音声の分野で完成させようとしていると思います。iPodによって好きな音楽を好きな時に聞けるようになりましたし(時間的自由度の拡大)、従来は考えられなかった数千曲もの大量の音楽を所有することができるようになりましたし(内容的自由度の拡大)、GarageBandで自ら音楽を簡単に作曲することもできるようになりましたし(内容的自由度の拡大)、それら無数の音楽を簡単にブラウズすることができるようになりました(操作的自由度の拡大)。現在は、それらをポッドキャストとして世界中の人々に発信することも出来るようになっています(発進的自由度の拡大)。しかし、アップルのポッドキャストの取り組みはまだ始まったばかりです。発進的自由度の拡大という観点から考えると、アップルの音楽ソリューションはその点がまだ手薄だと思います。したがって、アップルはユーザーが作った音声コンテンツの発信方法に力を入れると思います。具体的には、次のようなものが考えられると思います。



いつでもどこでも思ったことを録音できるように、iPodに録音機能がついたら便利です。iPodで録音した自分の声をMacへ移し、GarageBandでそれをポッドキャストとして簡単に編集できるようにすれば、街を歩いていて何気なく思ったことや、毎日の日記などをポッドキャストとして発信することがとても簡単になるでしょう。さらに、ポッドキャストのアップロードが、Macと親密に連携する.Macで行えれば、ポッドキャストがさらに手軽で簡単に行えるようになると思います。そのように、ポッドキャストの収録、編集、発信を簡単にするようなソリューションが登場すれば、音声の「発進的自由度」が広がることになると思います。GarageBand以外にも、ポッドキャスト専門アプリが登場するかもしれません。


次は映像について考えてみたいと思います。「4つの自由度」という考え方、すなわち映像を見る機会を現在より大きく増やし(時間的自由度の拡大)、見ることのできる映像のバラエティーを現在より大きく増やし(内容的自由度の拡大)、所有する映像を簡単にブラウズでき(操作的自由度の拡大)、所有する映像を発進できる(発進的自由度の拡大)ようになるという考え方からすると、現在のアップルのソリューションは次のような状況になっていると思います。



音声はヘッドホンさえあればいつでもどこでも聞くことが出来ますが、映像はディスプレイの大きさによって視聴体験の質が違ってきます。小さなディスプレイの小型機器ではいつでもどこでも映像を見ることが出来ますが、ディスプレイが小さいので視聴体験の質はどうしても低くなります。したがって、ソニーのグラストロンのようなデバイスが採用されない限り、これまでのiPodモデルをそっくりそのまま映像に当てはめることは難しいでしょう。ビデオiPodが出るとしても、ビデオ機能は補助的な機能にしかならないと思います。これまでのiPodモデルを映像に当てはめると、映像の視聴体験の質という観点で、問題が発生すると思うからです。ビデオiPodは音楽iPodのような究極的手段にはならないと思います。したがって、ビデオiPodが出るとしたら、それは必ずテレビに繋いで使うものになると思います。


「いつでもどこでも好きな時に映像が見られるようにする」という時間的自由度の拡大は、技術的にまだまだ先の話だと思います──外見が普通のメガネとほとんど変わらないグラストロンが出るまで、実現はしないのではないかと思います。なぜならば、「いつでもどこでも好きな時に映像が見られるようにする」といっても、ポケットに入らないような大きいディスプレイを持ち運ぶわけにはいかないし、また、ポケットに入るサイズのディスプレイでは視聴体験で妥協しなければならないからです。一般的にどの大きさで妥協が出来るのかには研究の余地があると思いますが、その点ではっきりしない限り、ポータブルビデオ製品はリスクの大きな実験となってしまうでしょう。


そう考えると、あとは「内容的自由度」と「発信的自由度」に拡大の余地が残されています。現在、内容的自由度と発進的自由度は、「ビデオキャスト」の増加という、ユーザー側の動きによって拡大されています。ビデオキャストを発信するサイトの増加により、私たちは世界中の人々の撮影したさまざまな映像を、インターネットを通して自由に見ることが出来るようになっています。これまでほとんど進歩していなかった「発信的自由度」が、ついに爆発的に拡大する兆しが見え始めたのです。発信的自由度が拡大すれば、それに伴うかたちで内容的自由度も拡大します──発信する人が増えれば、映像の種類も増えるからです。パソコンユーザーが一人ずつビデオキャストを行えば、映像のバラエティーは指数関数的に広がるでしょう。


アップルはiTunesのポッドキャスト機能でビデオキャストを扱うことが出来ます。つまり、iTunesでビデオキャストを簡単にブラウズできるようにすれば、アップルは映像の操作的自由度も固めることが出来るのです。


アップルのiLifeでは、かなり前から映像の取り込み、編集、DVD作成ができるし、映像のBGMも作成できるし、.Macを使えば映像を簡単にネットで公開できるようになっています。さらに、iTunesでビデオキャストのサブスクライブが行えます。つまり、テレビカメラとMacが1台あれば、誰でもビデオキャストができるようになっています──ビデオキャストという時代の流れが、アップルに向かって流れて来ているように見えるのです。


アップルはポッドキャスト及びビデオキャストを強力にサポートすることで、優位な座をさらに固めることが出来ると思います。その方法には次の三つが挙げられると思います。



iSightなどのウェブカムを使えばビデオキャストの撮影が簡単になります。次に、ただ撮影したものを繋ぎ合わせるだけではつまらないので、たとえばニュースがテーマのビデオキャストだったら、自分が映っている背景をニュースセンターのようなものに加工するテンプレートとか、スポーツのビデオキャストだったら、スコアリングが表示できるようなテンプレートとか、要するにテレビ局の番組を真似できるようなテンプレートがテーマごとに用意されたら、ビデオキャストの品質は向上すると思います。さらに、ビデオキャストをいちいちパソコンでダウンロードするのではなく、ビデオキャストを普通のテレビ番組のようにテレビで見ることの出来るソリューションが開発されれば、ビデオキャストの視聴体験の質が向上すると思います。


以上をまとめると、次のようなことが推測できるのではないかと思います。



いずれにしても、アップルはポッドキャストやビデオキャストを、何らかの形で今まで以上にサポートすることになるのではないかと思います。




<< Home

Archives

August 2005  

Mail

macandpal.mail@laposte.net

This page is powered by Blogger. Isn't yours?