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Thursday, August 11, 2005

 

1.私がアップルに注目するようになった理由

 次の文章は99年ごろに私がレポートとして書いたものですが、周りからは理解されずにずいぶん残念な思いをしました。しかし、現在アップルに注目している方々は、次のレポートを読むとピンとくるのものがあるのではないでしょうか。

 私たちはiPodの登場で、非常にたくさんの音楽をいつでもどこでも楽しめるようになりました。iTunesを利用すれば、好きな音楽を即座に手に入れることもできます。さらに、ポッドキャストという手段を使えば、自分の考えを音として伝えることもできるようになったし、世界中の人々の考えを聞くこともできるようになりました。こうしたアップルの一連の動きは、音楽という範囲内において、以下のレポートと合致するものがありました。アップルが音楽事業を展開するにつれ、私は我が意を得たりという気持ちになりました。私がアップルに大いに注目し、Mac & Palというサイトを作るに至った理由もそこにありました。



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[レポート:映像の発展する方向性について]

  • 映画、そしてテレビの発明以来、極めて大きな発展を遂げて来ている映像について、その過去の発展の方向性を分析することにより、映像の将来的な発展の方向性を探る。

    • 映像の発展と3つの「自由度」
       これまでに普及したテレビ用映像機器(テレビの機能を補完または拡張する電気製品)を挙げると、ビデオビデオカメラテレビゲームの3種類が挙げられる。テレビが普及して以来何十年も経つが、これまでに大きな市場を形成したテレビ周辺機器のセグメントはその3つしかない。

      • ビデオ
        テレビ番組の放送は日時が限られているので、好きな番組でも時間の都合がつかなければ見られない。また、好きな番組を見ることができても、放送の日時が限られている以上、その番組を再び見ることは難しい。つまり、こうした「テレビの時間的制約」を取り払うのが「ビデオ」であり、消費者はビデオによって「映像の時間的自由度」を獲得したと捉えることができる。現在までにビデオデッキは大きな市場を形成し、一家に一台は当たり前というほど大きく普及している。

      • ビデオカメラ
        ビデオカメラが市販されるようになると、一般の人々によって種々様々な映像が自由に撮影されはじめ、テレビで見ることのできる映像のバラエティーが爆発的に広がった。テレビ局は高視聴率の狙える番組しか放送しないが、ビデオカメラの出現により、人々はテレビ局が放送することのない、自ら撮影した個人的な映像をテレビで自由に見ることができるようになっている。それは、消費者がビデオカメラによって「映像の内容的自由度」を拡大させたものと捉えることができる。

      • テレビゲーム
        元来、映像は見ることしかできない受動的なものだったが、テレビゲームの出現によって「映像を操作」することが可能になった。映像の操作という概念はゲームに留まらず、GUIなどにも発展し、映像の持つ可能性を大きく開拓している。それは、映像を受動的に見るのではなく、映像を「能動的に使用」することが可能になったことを意味する。つまり、テレビゲームを契機として、映像に「操作的自由度」がもたらされた。

    • 映像の発展する方向性
      これまでの10年を振り返れば、ビデオもビデオカメラもゲーム機も、それぞれの司る「自由度」を拡大させる方向に沿って進歩して来ていることがわかる。ビデオによる「時間的自由度」の拡大、ビデオカメラによる「内容的自由度」の拡大、そしてテレビゲームをはじめとした各種デバイスによる「操作的自由度」の拡大により、映像は大きな発展を遂げて来ている。それを一言で表現すれば、「より多くの映像を、より多くの方法で、より制限なく伝える」という方向性をもって、映像は発展して来ている。今後も、映像はその方向性をもって発展し続けるものと考えられる。

  • 現在における映像の限界
    現在はビデオとビデオカメラによって、様々な映像を好きな時に見ることができる。しかし、それは個人個人の領域内における出来事でしかない。ビデオカメラで撮った映像も、ビデオにダビングしてそれを手渡すとか、人を家に呼んで観てもらうしかないというのが現状となっている。「より多くの映像を、より多くの方法で、より制限なく伝える」という、これまでの映像の発展の方向性をここであらためて考えると、個人の保管する映像を発信する方法が乏しいことを指摘できる。

  • 第4の「自由度」と映像の将来的進路
    「より多くの映像を、より多くの方法で、より制限なく伝える」という、これまでの映像の発展の方向性から考えると、将来は個人の撮影した映像をより多くの人々に向けて発信することができるような、何らかのデバイスや仕組みが登場するものと予測される。すなわち、「発信的自由度」という第4の自由度の拡大が、今後の映像の発展する進路になるものと考えられる。「発信的自由度」の拡大により、「より多くの映像を、より多くの方法で、より制限なく伝える」という、これまで映像を発展させて来た方向性が、より良く満たされることになる。

    • ビデオ、ビデオカメラの次に現れるもの
      発信的自由度」という観点で将来の映像について考えると、個人が保管している映像を第三者に観せることを目的とした、何らかの機器や仕組みが登場するものと予測される。

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 このレポートを数人に読んでもらいましたが、議論すらしてもらえませんでした。書き方からしてレポートにはなっていないのかもしれませんし、色々と不備もあったのかもしれません。技術的なことも一切書かれていません。読む価値はないと思われても、当時はしかたがないと思いました。しかし、iTunesのリリースからポッドキャストまでの一連の動きを見ると、このレポートも無駄ではなかったのではないかと思われて来るのです。

 現在アップルに注目している方々は、このレポートにピンとくるのものがあるのではないでしょうか。 iTunes、iTunes Music Store、iPod、GarageBand、Logicといった、音楽に関連したアップルの一連のソリューションについて考えると、音楽という領域内において、私の考える「4つの自由度」が大きく拡大されて来ていると思います。iPodによって好きな音楽を好きな時に聞けるようになりましたし(時間的自由度の拡大)、従来は考えられなかった数千曲もの大量の音楽を所有することができるようになりましたし(内容的自由度の拡大)、GarageBandで自ら音楽を簡単に作曲することもできるようになりましたし(内容的自由度の拡大)、それら無数の音楽を簡単にブラウズすることができるようになりましたし(操作的自由度の拡大)、さらにはそれらをポッドキャストとして世界中の人々に発信することが出来るようになったのです(発進的自由度の拡大)。そのように、私は一連のアップルの音楽関連の取り組みが、メディアの「4つの自由度の拡大」に沿った動きなのではないかと考えています。私はアップルのソリューションが、今後も「より多くの音楽を、より多くの方法で、より制限なく伝える」という方向性で進歩し続けるものと考えています。

 さらに、iTunesでは動画をライブラリに追加できるようになりました。私は、アップルが今度は映像分野で「4つの自由度」を拡大させようとしていると考えています。すなわち、映像を見る機会を現在より大きく増やし(時間的自由度の拡大)、見ることのできる映像のバラエティーを現在より大きく増やし(内容的自由度の拡大)、所有する映像を簡単にブラウズでき(操作的自由度の拡大)、所有する映像を発進することができる(発進的自由度の拡大)ようになるソリューション群が構築されるのではないかと考えています。次は、この考え方を基に、これからのアップルの動きについて考えてみたいと思います。




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